| 若竹七海の棚 (2000.11.13 up) |
『クール・キャンディー』 祥伝社文庫創刊15周年記念 特別書き下ろし中編
<あらすじ>
杉原渚・14歳。渚が一番好きな日は、夏休みが始まる前日であり、自分の誕生日の前日でもある7月20日。ところがそんな日にママから突然聞かされたのは、14歳上の兄・良輔の奥さんで、入院していた柚子さんが自殺したってこと。しかも柚子さんを入院に追いやった原因である男がほぼ同じ時に事故死したというから驚き。警察は当然、兄の良輔を疑っている。何とかして兄の無罪を証明しなくては。
今年の7月20日は、渚にとって人生最悪の夏休みの幕開となってしまった。
<感想> ”ネタばれ”なしです。
祥伝社から出版された15周年記念の書き下ろし作品は、全部で21冊。15周年なんだから15冊の方がしっくりくるよ、と思ったりもしますが、お気に入りの作家さん作品が多いので何の問題もありません。中でも本書の若竹作品は、クールに決めてくれました。
若竹さんの描く人物って結構特徴ありますね。題名を見て、まさにこれだ、と思いましたが、主要キャラがホントにクール。ここでの意味としては、冷静だし頭も良い、です。杉原一家が特にそうで、兄の良輔は申し分ないし、失踪したパパもある意味クール、ママも非常に大らかそうなんだけれども、要所要所でクールさを発揮。そして14歳の主人公である渚。
これって、読む時期によって変わるかもと思うのですが、渚のクールさって、見ていて可愛さに置き換えられてしまいますね。クールなんだけれども、14歳当時の自分自身を振り返ってみると思い描くものが、割と頻繁に出てきます。そういうところを読むと、強がっているとまではいかないんですけれど、微笑ましくて可愛いです。
ただ、自分が14歳の時は、こんなにも物事について、自分の周りについて、考えたことないんじゃないかなと思うので、きっとその頃に本書を読んでいたら、たくさん共感できるところがあったんだろうなって。同時に渚には可愛さではなく、頼もしさを感じたかもしれませね。読む時期によって感想が変わるから、読書は面白い。だから再読が楽しいってことですかね。
さてさて、本書で印象的だったのは、ネタバレになってしまうので、詳しくは書けないのですが、若竹さんならではのラストの一行でした。今回祥伝社から出版された作品は、ある程度の分野がテーマ別に分かれていて、本書『クール・キャンディー』はミステリーに属しているんですが、このラスト一行を読んだ時は、これってホラー?なんて思ってしまったほど。ちょびっと背筋がゾゾゾでした。技ありです。ラストから最初に読んじゃう方には、ホント可哀相な作りになっていました。
渚にとっては人生最悪の夏休み。冗談抜きで最悪です。ホラーみたいな一冊でした。
<今回の気になる一言>
「てめえ、なにしてけつかんのじゃ!」
後で思い出して、我ながら笑っちゃったんだけど、あたしも相当あせってたんだね。いったいどこの方言なんだっちゅーの。
杉原 渚 談
※こういうところが可愛い。